Nobo-Sanのボクジュー一滴

正岡子規『墨汁一滴』の超・現代語訳ブログ。やっぱり柿うまい。

「宝船」の時期

 

 節分の夜に宝船の絵を枕に敷いて、初夢を占うことは、私の故郷だけではなく、関西ではポピュラーなことだろう。東京では1月2日の夜に宝船を売って回っているが、コレはなんだか納得いかない。
 しかし、これも実は古い風俗らしく、『滑稽太平記というモノに

 
 回禄以後鹿相成家居に越年して


 去年たちて家居もあらた丸太かな   卜養

 宝の船も浮ぶ泉水          玄札


 この宝の船は種々くさぐさの宝を船に積たる処を画に書き回文の歌を書添へ元日か二日の夜しき寐して悪しき夢は川へ流す呪事まじないごとなりとぞ、また年越の夜も敷く事ある故に冬季ともいひたり、しかるに二つある物は前の季に用る行年ゆくとしをとらんためなればこの理近かるべしといへるもあり、されども玄札老功たり既にする時は如何とも春たるべしといふもありけり


 と書いてある。「元日か二日の夜」とあるので、昔は2日の夜に限ったことではなかったのか。

(1901/02/05)