Nobo-Sanのボクジュー一滴

正岡子規『墨汁一滴』の超・現代語訳ブログ。やっぱり柿うまい。

小鳥の水浴び

 私が病気になった後、ある人が病床の慰めに、と大きな金属製の鳥かごを借りてきてくれたので、窓際において、小鳥を10羽ほど飼ってみた。 

 その中にある水鉢ぼ水を変えてやると、すべての鳥が下りてきて、我先にと水を浴びに来る様子が面白くて、病床から眺めて楽しんでいる。

 水鉢を置いてまだ手を引かぬうちから、ヒワが一番先に降りて浴びる。浴び方も一番上手だ。ヒワが浴びると勢いがいいので瞬く間に鉢の水を半分くらいまで羽ではたき散らしてしまう。そのため、ほかの鳥は残りの乏しい水で順番に浴びなくてはならなくなる。

 それを予防するためだろうか、しばらくすると、ヒワが浴びに行こうとするとキンパラが2羽で降りてきて、ヒワを追い出し、2羽並んで浴びるようになった。そのあとでジャガタラ雀が浴びる。キンカチョウも浴びる。カナリヤも浴びる。

 しばらくは水鉢のほとりに、先番後番と鳥が詰めかけている。浴びて済んだヤツは皆、高いとまり木にとまって、しきりに羽ばたきしている。その様子がとても愉快そうに見える。

 

 考えてみると、私が風呂に入れなくなってから、もう5年になる。

 

 

(1901/03/07)