2023-05-10 月並派には使いこなせない言葉 墨汁一滴 ある人曰く、『宝船』の第2号に、 やはらかに風が引手の柳かな 鬼史(きし) 銭金を湯水につかふ桜かな 月兎(げっと) の2句があるが、これって月並調じゃないの、と。 答え:月並調ではない。 柳の句は俗っぽい言葉を使っているから月並のように見えるが、実際には月並派じゃあこんなにも巧みに、思い切って言い放つことなどできない。 桜の句も、 銭金を湯水につかふ松の内 なんてしたら、月並になっただろう。「桜かな」という5文字は、月並派には置くことはできない。 (1901/05/10)