Nobo-Sanのボクジュー一滴

正岡子規『墨汁一滴』の超・現代語訳ブログ。やっぱり柿うまい。

月並派には使いこなせない言葉

 ある人曰く、『宝船』の第2号に、

 

   やはらかに風が引手の柳かな     鬼史きし

 

   銭金を湯水につかふ桜かな      月兎げっと

 

 の2句があるが、これって月並調じゃないの、と。

 

 答え:月並調ではない。

 柳の句は俗っぽい言葉を使っているから月並のように見えるが、実際には月並派じゃあこんなにも巧みに、思い切って言い放つことなどできない。

 

 桜の句も、

 

   銭金を湯水につかふ松の内

 

 なんてしたら、月並になっただろう。「桜かな」という5文字は、月並派には置くことはできない。

 

 

(1901/05/10)