『春夏秋冬』について③
私は『春夏秋冬』を編むにあたり、四季の題を四季に分類するのに困難した。それは、陽暦を用いる地方(または家)と陰暦を用いる地方(または家)と両方あってそのために季節の相違が生じることが多かったからである。
例えば...
春┌
└
夏┌七夕 夏┌灌仏
└
秋┌
└
冬┌新年 冬┌十夜、御命講
└やぶ入 └芭蕉忌
のようのもので、東京では全体的に新暦を用いるけれども、地方では全体的に旧暦に従ているところもあり、または半ば新暦を用い半ば旧暦を用いるのもある。
こうなってくると、東京に従うか地方に従うかは、新・旧歴のどっちが全国的な割合を見たときに主流なのかを研究してからじゃないといけない。
私はこのことについてはまだ研究をしていないけれども、おそらくは「新年」の行事ばかりは新暦を用いるものが全国的にも過半数を占めるだろうと信じ、これを冬の部につけた。
その他は旧歳時記の定めるところに従った。ただしこれは分類上の便宜を言っているだけで、実際の句作はその時の状況によって作るべきで、四季の名目なんかにとらわれるべきではない。
(1901/05/25)