2023-06-11 なんだかいい日 墨汁一滴 病室の片側には綱をかけて陸中(りくちゅう)小坂(おさか)の木同より送られてきた雪沓が10種ばかり、そのほかカンジキ、蓑帽子などを掛け並べてその続きには満州にあるという曼荼羅が1幅、極彩色で青い仏や赤い仏などいろんな仏を描いたものを掛け、ガラス戸の外は雨上がりの空が心地よく晴れて、庭の緑が滴っている。 昨日歯茎を切って膿を出し切ったため、今日は頬の晴れも引き、体の痛みもいつもよりは軽くて堪えやすい今日のただいま、コップ半分のココアに牛乳を加え、一匙、もう一匙と...。 これほどの心地よさはここ数日絶えてなかったことだ。 (1901/06/11)