東京にスバシッコイ俳人がいる。
運座の席に出て、先輩の句に注意し、またどんな句が多数の選に入るかに注意し、その句をメモって帰り、さっそくその句の特色をマネて、っていうかパクって東京や地方の新聞社に投稿して、誰かに抜かされることだけを恐れる。
一般の人はそのマネをマネし、またパクりをパクって、その特色はたちまち天下に広まり、元の句がまだ世に出ていないのに、既に陳腐なものとなってしまい、たとえ世に出したとしても、だれも見向きもしないようなものとなってしまう。
これじゃあ俳句界にも専売特許ってのが欲しくなる。
(1901/06/10)