病に伏した枕元に、巻紙だの封筒だのを入れた箱がある。その上に温度計を置いている。
その下に
この地球儀は20世紀を迎えたお年玉という事で、鼠骨(寒川鼠骨)がくれたものだ。直径3寸の地球をつくづくとみれば、日本の国が赤く色づけされている。台湾の下には「新日本」と書かれており、朝鮮、満州、吉林、黒竜江などは、紫色の中にあるが、北京や天津の表記がないのは、ワリと心細い気がする。
さて、20世紀末の地球儀には、この赤色と紫色が、どんな風になっているのか。これは20世紀初めの地球儀にも想像がつかないことだろうが…。
とにかく、書類箱の上に並べられた温度計と地球儀が、私の病床の蓬莱なんである。
枕べの寒さ計りに新年の年ほぎ縄を掛けてほぐかも
1901/01/16
今日からメイン企画が始まりました。
20世紀末の地球儀を知っている身としては、より一層感慨深いものもあります。さて、21世紀末にはどうなっているのでしょうか。
鼠骨という人物ですが、子規の結構お気に入りのお弟子さんです。割と今後出てくるので、ご注目。
ちなみに、『墨汁一滴』の後に描かれた、臨終間際までの子規の日記、『病床六尺』の書き出しは、「病床の6尺っつーのがアタシの世界なんだけど、結局寝てるだけだから、コレでも広すぎるんだよね」てな感じで始まります(こっちの方が有名か)。
なので、「掌の上の地球儀」ってのと対比をなしてるように思うんだけど、でもって、同じよーな表現な気がするんだけども、どうでしょう。