Nobo-Sanのボクジュー一滴

正岡子規『墨汁一滴』の超・現代語訳ブログ。やっぱり柿うまい。

雑誌の表紙のはなし

  •  ここのところ、雑誌の表紙を模様入りの色刷りにして、紙も輸入物を使うことがはやっている。体裁としては一つ進歩したといえよう。
  •  雑誌目不酔草めざましぐさの表紙模様は中村不折ふせつがデザインを手がけた。面白い。ただし、何でもかんでも梅や桜の花をつけたがるのは、不折の癖なんだろう。
  •  雑誌明星みょうじょうは体裁のキレイさにかけては普通雑誌の中でもピカイチだが、ついに廃刊になってしまったそうで残念。
  •  雑誌『精神界』は仏教の雑誌である。表紙にはまずドクロを描いて、その上に「精」「神」「界」の3文字を書いている。この感じだとなんだか、物質的に解剖的真理を研究するようで、仏教らしさってものはあまりない。ドクロの画がちょっとリアルすぎるからなのかもしれない。
  •  雑誌『みのむし』は伊賀で出版された俳諧の雑誌である。表紙に芭蕉ばしょうの葉を描いているが、これがまたヘタクソで、かぶらの葉のように見える。蕪村がはやっている今日この頃、芭蕉翁も蕪村化したようでシャレとしては面白い。
  •  雑誌『太陽』の「陽」の字のつくりが、時たま「易」になっていることがある。そんな字は辞書にない。

 

(1901/02/27)