春雨の朝からショボショボと降る雨は、とてもに静かでちょっと淋しいようで、おしゃべりなんかに適しているから、こういう日に傘さして袖を濡らしてワザワザ話しに来たよ、という遠方の友なんかがいたらとても嬉しいのだが、まあ、そういう事は今まであったためしがない。
今日も雨が降るので、客も来なくて、仰向けになってボンヤリ天井を見ていると、張り子の亀がぶら下がっている。ススキの穂のミミズクもぶら下がっている。ダチョウの卵の黒いのもぶら下がっている。
周囲の鴨居には
枕もとを見ると箱の上に1寸ほどの人形がたくさん並んでいる。その中にはお
こんなツマラナイときに、こういうオモチャやら菅笠やらに皆脚が生えて、病床の周りを歩き出したら面白いだろう。
(1901/04/4)