パン売の太鼓も鳴らず日の永き
上野は
松杉や花の上野の後側
三年目に
窓前の大鳥籠には中に木を
追込の鳥早く寐る日永かな
毎日の発熱毎日の蜜柑この頃の蜜柑はやや腐りたるが旨うまき
春深く腐りし蜜柑好みけり
隣医
ひねくり者ありふくべ屋椿とぞ呼べる
煖炉取りて六畳の間の広さかな
歯の痛三処に起りて柔かき物さへ噛みがてにする昨今
或人
苔を包む紙のしめりや春の雨
(1901/04/16)
パン売の太鼓も鳴らず日の永き
上野は
松杉や花の上野の後側
三年目に
窓前の大鳥籠には中に木を
追込の鳥早く寐る日永かな
毎日の発熱毎日の蜜柑この頃の蜜柑はやや腐りたるが旨うまき
春深く腐りし蜜柑好みけり
隣医
ひねくり者ありふくべ屋椿とぞ呼べる
煖炉取りて六畳の間の広さかな
歯の痛三処に起りて柔かき物さへ噛みがてにする昨今
或人
苔を包む紙のしめりや春の雨
(1901/04/16)