Nobo-Sanのボクジュー一滴

正岡子規『墨汁一滴』の超・現代語訳ブログ。やっぱり柿うまい。

眠れない夜

 熱高く身体苦しい。はじめは呻吟、中ごろは叫喚、終わりは吟声となり放歌となり都々逸、端唄、謡曲、仮声、片々寸々時々刻々コロコロと変化して自分でも次にどうなるかよくわからん。

 一夜例のごとく偈(仏典の詩。三言から五言の4句からなる)のようなウワゴトが1句2句と積み重なっていく。一度口から出てしまえば、もう記すこともない。その中でもわずかに記していた1,2句を取り繕って、4句とする。なんだかわかるようでわからない感じが奇妙である。

 

  星落白蓮池。 池塘ちとう草色ひとし。 行々不仏。 一路失東西

 

(1901/06/09)