羽後能代の雑誌『俳星』は第2巻第1号を出した。為山の表紙模様は、蕗の林に牛を追うデザインが斬新で、しかも模様化されているところが、古雅であり妙と言わざるを得ない。
破笛が『ホトトギス』の表紙デザインの募集に応じて、またこの雑誌の裏画を書いている。前日の『虫籠』に出した「猿芝居」のような小作品よりもさらに優れたものである。彼の多才さにはオドロキである。もしも俳句の上にももう一つ進歩があったら、さらにすごいことになる。
南瓜道人(石井露月)が『俳星』の首に題して...
風流たる蛸公子。また春潮に浮かれ来る。手を握つて妾が心かなしむ。君が疣何ぞ太甚だひややかなる。
だってさ。大笑い。
月兎(青木月斗)の「比翼蓙」について、『俳星』で論じられていた。だけどもこれは見ようにもよるのか。もしも道修町の薬屋の若旦那の新護が花嫁を迎えた喜びに、祝いの句を集めて小冊子を作り、これを知人に配ったとすれば、風流な若旦那のままでいられた。
もし大阪の俳人月兎ほどの人物が、自分の新婚の句をわざわざ活版屋の小僧に活字組ませて、製本屋の職工に綴じさせて、それをさも得意げに世間に披露したりすれば、かなり心のイヤしい俳人と言わざるを得ない。
(1901/03/25)