Nobo-Sanのボクジュー一滴

正岡子規『墨汁一滴』の超・現代語訳ブログ。やっぱり柿うまい。

『明星』の落合氏の歌③

 

 かざしもて深さはかりし少女子おとめごのたもとにつきぬ春のあわ雪

 

 カンザシでもって雪の深さを測るってのは、畳算と一緒で、ドドイツの材料みたいにイヤミが多く、ここには適さないようである。

 「はかりし」とここには過去形になっているけれども、フツーは「はかる」と現在形で書くものだ。

 「つきぬ」がどういう意味か分からん。「くっつく」という意味か。だとすれば、空から降ってきた雪がくっついたのか、それとも下に積もった雪がくっついたのか、どちらにしても穏やかな状況じゃなさそうだ。

 結句ではじめて「雪」が登場するのに、第2句で「ふかさ」と言ってしまうのは、順序が逆だし、しかも距離的にも離れすぎているので、あまり上手な詠み方じゃない。

 

(1901/03/30)