今になって気づいたことがある。
これまで横になりっぱなしだったにもかかわらず、その割に多くの食べ物を消化できたのは、咀嚼の力がかなりの役割を果たしてくれた。
噛んでは噛みまくって、これ以上ないくらいに柔らかくして、お粥の米さえも噛めるだけは噛んできた。これはただの癖ではない。
で、こんなにも噛みまくってきたために、咀嚼に最も重要な第1の臼歯が、左右ともに段々とイタんできて、この頃は痛みが強くて少しでも上下の歯を合わせることができなくなってきた。
こうなってくると、めちゃ柔らかいものでも噛まずに飲み込まなければならない。噛まずに飲み込めば美味さを感じられなくなるだけじゃなく、胃腸がすぐに痛んで、ケイレンをおこす。
ここにきて、衛生上の栄養と快心的な娯楽が一気に奪われて、衰弱に拍車をかけ、昼夜問わずモンモンとし、たちまち例の疑問が蘇ってくる。
「――人間はなぜ生きていなければならないのか」
さへづるやから
(1901/05/09)