枕もとに、誰かが置き忘れた「
おもうに、最近光琳ら4家の展覧会があったそうなので、そのパンフレットの類だろうか。それにしても、
ソノ画ク所
と、あまりにもテキトーなことを書いてある。「用筆簡淡」の4文字では光琳の絵を形容することはできないし、ニュアンスとしてはむしろ光琳の絵の感じを一切表現してはいない。
何はともあれ、光琳の絵の一番の特色は、ほかの絵描きが輪郭的な画法を用いるのに対して、
さらに、
マタ茶道ヲ
ってのも意味わからない。この分を読むと、光琳は茶を学んだから蒔絵がうまくなったように思えてしまう。『論語』を習ったら数学が上達した、みたいなことで、キツネをウマに乗せるような奇論法である。もしも「茶道」と「硯箱茶器ノ製作ニ巧ミ」が関係のない事実であるとしたら、何で並べて書いたんだ?
そのほかにもなんだかアヤシゲな記述が多い。撰者夢中の作なのであろう。なんにしても、今の世の中に光琳の名を広めようというのだから、画を知らない漢文書きに頼んで解説を書かせる、なんてのはバカげたことだ。
(1901/04/23)