Nobo-Sanのボクジュー一滴

正岡子規『墨汁一滴』の超・現代語訳ブログ。やっぱり柿うまい。

寝ながら立ち聞き

 病床に寝て一人で聞いていると、垣の外のよその奥さんの立ち話が面白い。

 

「――あなたネ、提灯を借りたら新しい蝋燭を付けて返すのが当たり前ですネ、それをあなた、前の蝋燭も取ってしまう人がありますのヨ、同じことですけどネ、そういったようなことがネ...」

 

 などとどっかの悪口を言っている。今の政治家、実業家などは皆、提灯を借りて蝋燭を分捕りする方の側だ。もっとも図々しいヤツになると、提灯ごととってしまって平気でいる奴もいる。

 

提灯を返せ〳〵と時鳥

 

(1901/05/24)