Nobo-Sanのボクジュー一滴

正岡子規『墨汁一滴』の超・現代語訳ブログ。やっぱり柿うまい。

漢字の話

 黄塔がまだ生きていたころ、私の書いた字の画の間違いを正してくれたことがあった。それからというもの、私も事あるごとに注意して字引を調べる様になったのだが、我々の書いている文字って、意外と結構間違っていることが多いのに気づかされた。

 ということで、以下に、間違えやすい字を列挙してみよう。

 

 、などの最後の横棒は3本である。2本で書くのは間違い。活字でも2本になっているものがある。

 の字の下も3本である。2本ではない。

 の扁はである。土扁にする人が多い。

 の扁はである。目扁にする人が多い。

 、など、の中のヤツ「林」にするのは間違いである。この頃は活字でもこうした誤字が作られているので、注意しよう。

 はともに四角の中の画を外まで引き出す。活字を見るに、「兎」は正しいのだが、「免」は結構2画に分けられているのが多い。まあ、これは誤字というわけでもないか。

 「つか」という字は、であり、いのこに点を打ったものである。なんだけども、漢字を知ってるヒトほど、のように豕のうえに「一」を書く人が多い。だけど、これらは同じ音で読むのだが、「つか」の字ではない。

 、などのカンムリは「入」である。「人」ではない。

 、などは「八」である。「人」でも「入」でもない。

 神祇の「」の字は「ぎ」と読み、示扁に「氏」を書く。なので、「祗」(「氏」のしたに1本横棒を引く)を書くのは誤りである。「祗」は「し」と読み、「祗候しこう」などの「祗」である。

 は「すたる」の意味で用いられる。「やまいだれ」がついた 「癈」は病気の人間を指す。これもわりと、「疒」の方を使う人が多い。

 

 

<正誤>

 前々回の記事で、ある人から聞いたままに「雑誌『明星』が廃刊になった」と書いたが、これはマチガイでした。「ただいま印刷中だよ」と与謝野鉄幹氏からツッコミが入った。

 私はこの雑誌が健在であったことを喜ぶとともに、誰かのウワサ話を簡単に信じてしまった粗相を陳謝する。

 

(1901/03/01)

 

 


 

 この記事書くのすげー大変だった。旧字体のオンパレードで、フォント探すの面倒だったし(活字拾ってる気分だよね)、見つからなかった字は、いろんな字の部首をツギハギして画像データで貼り付けました。

 この記事は120年前に書かれたものなので、今では使われていない字、他の略字にとってかわられた字、そして、ここでは誤りと言われているけれども、そっちの方が常用になった字があります。

 で、厄介なのは、ここから子規先生は漢字にハマッたのか、似たような記事が後にも出てきます。ああ、めんどくさい。

 でも、この感じシリーズが打ち切りになる事件も起こって、それはそれで見ものなので、頑張ります。

 

 

新部良仁